ぼくはトニースタークが嫌いだった
エンドゲーム作文
テーマ MCUとぼく
第一回「ぼくはトニースタークが嫌いだった」
2019年4月末
アベンジャーズエンドゲームをみて感涙をした。映画館を出ても尚、思い出しては泣いた。これほどまでに感情を動かされたのは、
MCUそのものが自分の人生の一部になっていたし、
トニーも、キャップも、ナターシャも、他の人物も、
全員が自分の家族のような存在になっていたからだ。
ぼくが「MCU」とであったのは2008年、「アイアンマン」をDVDで観たのが初めだった。
そのときの感想はあまり覚えていない。ただ、ロバートダウニーJrの並々ならぬ気迫とオーラに圧倒され、興奮したと思う。
「アイアンマン」は、ぼくがそれまで観たことのあるヒーロー映画の「サムライミ版スパイダーマン」のような、陰鬱として非リア充が悲劇を経験してリア充になっていく話でもなかったし、スタークと同じようにお金持ちの「バットマン」のように悲劇を経験して、陰の自警団(陽キャを演じたスーパー陰キャ)になり、引き裂かれながら生きていく話でもなかった。
それが新鮮だったのだ。何よりも、スタークが巻き込まれた悲劇は自らがまいた種である。
「世界平和に貢献する」だとか「社会貢献のために」などといった安直な言葉で正当化していた行動を、最悪の痛い目を自らが経験することで反省することになるのだ。
それであるから、端的にいうと初見の「アイアンマン」はまあまあ面白かった。
そして、アイアンマンを経験したぼくはMCUから5年離れることになる。なんだかアベンジャーズって胡散臭いクソ映画の匂いがするなと思っていたからだ。
巷ではアイアンマン3が上映しており、アベンジャーズ旋風が日本まで届き始めていた。
そこでさすがにぼくも映画好きとしては観なければ駄目だな・・と思い、アイアンマン2を見た。アイアンマン2の内容は革新的でも何でもなく、陳腐に感じたし、スタークはなぜか有頂天に見えたし、ストーリーも普通で、、、まったく魅力を感じなかった。
そこで、もっとも重要な「ファースト・アベンジャー」を観ることなく、ぼくのMCUへのゲートはアイアンマン2によって再び閉ざされてしまう。
それから2年後・・・
映画館では「シビルウォー」が上映しており、なにやら評判がよかった。
新しいスパイダーマンもでているらしいが、自分はアイアンマン1・2しかみていない。アベンジャーズ1も見ていない状況だった。
そのとき観ている映画といえば、戦争映画ばかり。なぜか戦争映画ブームがぼくのなかで暴風雨となって洪水状態になっていた。具体的に言えば、毎日戦争映画だけみていたのだ。
そんな中でヒーロー映画など見る気にはなれない。そう思っていた。
そんなぼくは「キャプテンアメリカ ファーストアベンジャー」の時代背景がWW2であることを尻、間違えた。知り、仰天する。
そんなの観ないわけにはいかない。どんな物語がまっているのか。
期待を高めてゲオでレンタルをした。(キャプテンアメリカ2ウィンターソルジャーも同時に)
ぼくはぶちのめされた。キャップにぼこぼこにぶちのめされた。
ファーストアベンジャーは「アベンジャーズ」に繋がっていたのだ。
そして、なんて物語性が深いのだろう。そしてなんてピュアな恋愛映画なのだろう。
キャプテンアメリカは完全に戦争という背景を模した少女マンガでもあり、どんなヒーロー映画よりも純真無垢でピュアな「自由」と「忠義」をもった主人公の作品であったのだ。
沼に落ちる音がした。
キャプテンアメリカ2ウィンターソルジャーもまた、恋愛映画だった。
記憶をなくし、闇に落ちた親友バッキーを、絶対に助けたいと想うキャプテンアメリカの友情と愛を描いた至上のメロドラマなのだ。しかもそこにはいかがわしい欲望は介在しない。
最愛の女性との人生をうしなったキャップにとって、唯一の自己証明となる存在・自分をさらけ出せる場所がバッキーなのだ。敵となってしまったバッキーをなんとか助けようともがき苦しむアメリカのケツが目に焼きついたのだった。
アメリカのケツから目が離せなくなったぼくは、
・マイティーソー
・マイティーソーダークワールド
・アベンジャーズエイジオブウルトロン
を一気に見た。一気に感想を書こう。
正直映画としてそこまで好きではない。スタークがキャップに嫌味を言いまくってて、さらにスタークが嫌いになった映画。
しかしクライマックスのアクションは見ごたえ抜群である。
街全体に押し寄せる敵と真っ向からぶつかるアベンジャーズ。
やんちゃなロキ。
まあまあ楽しく観れました。
ただ最近見返しても感想は変わらないけど、みんな反抗期に見える。まだ棘がたくさん残ってて思春期の中二病みたいな状態。「俺はアスガルドのソー。オーディンの息子」みたいなのをガチで言ってる状態。
第1作目のアベンジャーズに副題をつけるなら
アベンジャーズ「反抗期の中学二年生」
・マイティーソー
「レオン」以来、ナタリーポートマンが好きなので彼女が画面に映るだけで幸せだった。
この頃のソーは、例に漏れず「俺はアスガルドのソー。オーディンの息子」状態。
なかなか中二病設定についていくのが難しく感じたりもした。
・マイティーソーダークワールド
んー、映画としてはあまり好きではないかな。
・アベンジャーズエイジオブウルトロン
悪くはないけどそんなに好きではない。
さぁ、きたよ。アイアンマン。忌み嫌うトニースタークさんのお出ましだ。
どんな映画なのか観てやろうじゃないか。という気持ちで見た。
そこに映し出されてるのは、アベンジャーズで、未知の敵と戦い苦戦し、未来に訪れるであろう脅威に恐怖し、不眠症になったおじさん。その名もメンタル弱まりトニースタークだった。
おいおい、なんだこれは。不眠症になって、未来の脅威に恐れて、ひたすらアイアンマンを改良して量産している。
ほとんど病気だよ。
トニースタークは、あの「自信過剰な振る舞い」という外見で、本当は優しくて脆くて、誰よりも「失うことへの恐怖心」が強い男だったんだ。
弱くて、ダメな男の話
その狂気と優しさ
全てを内包している。特にボロボロになったトニーが少年と出会い交流を深める場面。あれば映画史に残るよ。
ほんとうによかった。
ぼくは悔い改めてトニースタークが好きになり、完全に舐めきっていたMCUにここで土下座をしたのであった。
そして、推しと推しが喧嘩する「シビルウォー」へ続く………